要約:Markee Dragon's Shroud of the Avatar Roundtable #10 with Guest Starr Long

日本時間7月28日、Markee Dragonが主催するMarkee Dragon ShowでSotAのエグゼクティブ・プロデューサーStarr Longをゲストに迎えハングアウトが行われました。
動画の内容の抄訳をお届けします。



スター・ロン(Starr Long)について

1992年OriginにQA(ゲームテスター)として入社。
その後、インターネットの登場によりリチャードからUltimaのマルチプレイヤー版の構想が出る。(当時はマルチプレイのウルティマ=マルティマ(Multima)等と呼んでいた)
1994~95年にかけてUOの予算獲得の為リチャードとともに活動。
三度目の予算会議で1万ドルの予算を獲得。最初のプロトタイプ作成の段階までこぎ着ける。
プログラマーを雇用し、UOのプロトタイプをもって社内を駆け回った。
EAの社員をゲームに集め、アイテムをフロアに撒いてそれを集める競争をやってもらったり、そこでチャットしたり出来るのを実際に試してもらうことで、社内でもオンラインゲームへの理解と好評を得ることが出来た。
そして50人の開発メンバーと予算を獲得し、97年にUOをリリース。商業的にも成功する。
しかし、当時のEAの伝統的なビジネスモデルは"ビッグタイトルの続編のリリース"にあった為、UOと競合するUO2のプロジェクトはキャンセルされ、2001年スター・ロンはリチャードと共にEAを退社。リチャードの兄、ロバート・ギャリオットを加えて新会社Destination Gamesを設立する(後にTabula Rasaプロジェクト始動の為韓国NCソフトに買収される)。

註:ちなみにUO2プロジェクトは2001年にキャンセルされた後もUOX Odysseyとして再び開発が始まる。しかし、2004年にEAの判断により再びキャンセルされる。

Tabula Rasaプロジェクトの終了後、スター・ロンはディズニーに入社し、デザインとマネージメントを手がける。



2001年のEA退社後もリチャードとの親交は続き、2013年3月にShroud of the AvatarのKickstarterプロジェクトが始動したのを知る。その後リチャードはスター・ロンとのディナーの席で、それが"Ultimaシリーズの精神的後継"となるタイトルであることを熱心に語る。
Shroud of the Avatar開発へのリチャードの熱意を受け、7月にShroud of the Avatarの開発チームに参加。

Starr Long:
クラウドファンディング、クラウドソーシング、少数精鋭でのゲーム開発、マルチプレイヤーゲームでのゲーム経済デザインなど、これらSotAの新しい挑戦にパッションを感じていますよ。


Q:どうしてディズニーから再びゲーム業界へ?あっちの方が稼ぎは良いのでは?

Starr Long:
確かにお金の面ではそうです。しかし、ゲーム制作というのは非常にタイトな仕事なんです。映像業界では会社の業績さえ良ければ十分な収入を得られます。しかし、伝統的にゲーム業界におけるプロデューサーというのは、完成したゲームのクオリティに対する責任、他のプロジェクトの監督、制作スケジュールと予算の調整等、クリエイティブな面と管理業務の調整が必要で、私はその仕事が気に入っています。

Q:スター・ロンって本名?

Starr Long:
そうです。1970年生まれですよ。

Q:Shroud of the AvatarでもLord Black Thornとして登場しますか?

Starr Long:
いえ、ロードブラックソーンはUltimaの世界に残ることになります。
SotAの世界ではDark Starrという新たなゲームキャラクタの名を得ることになります。
ロードブラックソーンと同じく"カオス"ではあるが"Evil"なキャラクターではありません。
Dark Starrをテーマにしたゲーム内アイテム"Dark Starr Metronome"と"Dark Starr Moondial"があります。どちらもゲーム内容に関係のあるアイテムです。

Q:ゲームが完成した時に、個人的に一番エキサイティングだと思う部分は何だと思いますか?

Starr Long:
まずプレイヤーの視点から言えばいわゆるシングルプレイRPGとしてゲーム進行においてプレイヤーのとれるアクションの多さ、そしてそれを支える重厚なストーリーですね。
そしてもう一つの視点から言わせてもらえば、プレイヤー達によって作られるゲーム内経済のシステムですね。プレイヤーが作ったアイテムと、それをトレードするマーケットがゲーム内の経済システムを構築するんです。
例えばあなたが一本の剣を作り、お店のNPCに売るとしますね。
そして別のプレイヤーがそのお店にやってきてその剣を購入することが出来るんです。
また、剣を買ったプレイヤーがダンジョンで死んでしまったら、後でダンジョンにやってきた別のプレイヤーがその剣を拾って使うかもしれません。
いずれにしても、ゲーム世界で手に入るアイテムは、もともと誰か他のプレイヤーが作成したアイテムであるかもしれないのです。

また、ハウジングシステムもこの経済システムの一翼を担います。
エピソード毎に新たな建設スペースが追加されていきます。また、高額の出資をしてくれたプレイヤーにはハウジングにおいて様々な特典があります。
早期に建築が解禁されることや、水際の土地の権利は非常に価値のあるものになるでしょう。
私のアイデアの一つとして、ダンジョンのボスを倒した時にさえ報酬アイテムの中にプレイヤーが作ったアイテムが含まれることがあるかもしれません。
単純にボスが死んだ他のプレイヤーからルートした、というケースだけでなく、プレイヤーの誰かが作ったアイテムがマーケットをめぐりめぐって、最終的に他のプレイヤーの手元へ流れ着いた結果そういうことが起きるのです。

Q:オークとしてプレイ出来ますか?

Starr Long:
少なくともエピソード1ではプレイ出来るのは人間だけです。
そもそも設定的には地球人が不思議な世界にゲートを通してやってきた、というストーリーなので、プレイヤーは人間のキャラクターとしてゲームプレイしていくことになります。
もちろんオークヘルムをオーク砦で入手して、オークごっこは出来ますよ。

Q:SotAでは善悪の評判システムはどういったものになりますか?

Starr Long:
多くは話せないのですが…、自己の行いが反映されるものになります。
これはリチャード抜きでは多くは語れませんね。

Q:NPCとプレイヤーの関係はどういったシステムになるのですか?結婚などはできますか?

Starr Long:
今のところは優先度の問題で、エピソード1ではNPCとの親密な関係構築は実現出来ないかもしれません。
しかしその観点は素晴らしいものだと思います。コミュニティでの議論を注視しながら、エピソード2・3では実現したいと思っています。

Q:デスペナルティーはどうなりますか?

Starr Long:
まず、復活にかかる手間と多少のお金ですね。
しかしそのペナルティの内容はプレイヤーにとってそれほど重いものにはしない予定です。
また、死亡後の展開についても面白い体験が出来るようにしたいと思っています。

例えばUOでは死んでしまうとゴーストになって、復活の為に彷徨うことになりますね。
誰か他のプレイヤーを見つけて助けを求めようにも、こちらの言葉はOoooOoOoという呻きにしか聞こえません。復活の過程はちょっとしたミニゲームのようなものです。
しかし、UOでは死ぬと全てのアイテムがルート可能になります。これはとても重いペナルティですね。
せっかく素晴らしい装備を調えても、死んでしまったらそれら全てをロストする可能性が非常に高い。これではせっかくの装備を銀行にしまったまま使わない、という問題もおきてしまいます。

Q:開発の予算についてはどうですか?

Starr Long:
今のところ冬にプレイアブルなアルファバージョンを、春にはさらに次のバージョンをリリース出来そうです。

Q:課金次第で利用出来ないコンテンツがあるのでは?

Starr Long:
それは…例えば高額の出資者は早期に家の建築が出来たり、特典のアイテムを入手したりすることが出来ます。
しかし、ゲームのストーリーや展開には一切影響しません。

Q:つまり、$50の出資者と$1500の出資者の違いは特典アイテムの有無だけ?

Starr Long:
$1500の出資者は家の権利書をもってスタートできます。結果的に優先的に家を建築することが出来ますね。家の権利書は高価ですから入手するのに時間がかかります。

Markee Dragon:
いい土地は金持ちのものだってことだね

Starr Long:
(スター・ロン苦笑する)

Q:NPCはただの棒立ちしているだけの存在にはなりませんか?

Starr Long:
NPCを雇用してダンジョン出かけることが出来ますよ。彼らはあなたの役にたってくれるはずです。

Q:GM(ゲームマスター)やEM(イベントマネージャー)によるイベント開催は、SotAのセレクティブ・マルチプレイヤーシステムではどのようなものになりますか?

Starr Long:
エピソード1ではイベントマネージメントのシステムの導入は考えていませんが、将来的には必ず導入していきたいと思っています。

Q:例えば、街がモンスターによる包囲戦に巻き込まれてしまったら、マルチプレイでの扱いはどうなるのですか?

Starr Long:
包囲戦はそれぞれのプレイヤーの居るインスタンスによって起こっていたりいなかったりするので、ゲームマスターによる操作や管理は行われません。

Q:シーフシステムはどういったものになりますか?他のプレイヤーからスティールは可能?

Starr Long:
ロールプレイの幅とゲームバランスを考慮しなければならないのですが、エピソード1で導入出来るかどうか分かりませんが、私としてはシーフの概念は取り入れたいと思っていますよ。

プレイヤーからの投稿で、UOでRonald Macdonaldというキャラが自分の持ち物を全てスティールしてしまったというのがあるよ。非常に思い出深い体験だったそうです。

Q:スティールの概念を導入するなら、対策としてそれを防ぐスキルや賞金首のシステムを取り入れてはどうですか?

Starr Long:
私はPvP的な要素は歓迎しています。そしてプレイヤーが取れる選択肢も多く用意したい。
でもゲームの仕様が決まってこないとまだ話せることは多くないですね。

Q:SotAは古き良きRPGのように思えますが、現代のゲーマーにも受け入れられるのでしょうか?

Starr Long:
SotAはOld Schoolな良さもありますが、Ultimaプレイヤー、UOプレイヤー、そして現代のゲームに慣れている人も楽しめるオープンな仕様になります。

Q:アイテムクラフトはスキルレベルを上げれば上げるほどより強力なアイテムを作ることが出来るのですか?

Starr Long:
はい。ですが、頭抜けた性能のアイテムの作成はとてもハードな道のりになるでしょう。

Q:NPCと会話する度にNPCの知識が増えていくシステムを採用していますが、例えばNPCの知識の蓄積に有効なワードをフォーラム等に投稿して、ユーザー同士で補完しあうことも可能ですか?

Starr Long:
いい質問ですね。開発スタッフにもそのアイデアを話してみます。クリスマスまでにプレイアブルなアルファバージョンをリリースする予定なので、ユーザーからのフィードバックを参考に調整したいと思います。

Q:GoogleのAndroidを見るに、昨今の音声認識システムは非常に進化しています。
NPCとの会話時にタイピングではなく、音声認識も出来るようにしてはどうですか?

Starr Long:
素晴らしいアイデアですね。前向きに検討したいと思います。

Q:Googleと協力して音声認識のコーデックを導入してはどうです?

Starr Long:
まだこの件については詳しい情報を集めていないので…調べてみますよ。

Q:プレイヤー主導の経済においてインフレ対策などは考えていますか?

Starr Long:
まずPC同士のトレードもPCとシステムとのトレード(NPCベンダーなど)もシステム的にセキュアなものになります。
そしてそのシステム上で取引されたデータはサーバに蓄積されます。全プレイヤーの合計資産はどれくらいか、一日のトレードでの総取引額はいくらか、といったデータをモニターして経済状況を観察していきます。

Q:取引にはゴールドコインが通貨として使われるのですか?
また、ゴールドコインには重さはありますか?

Starr Long:
はい。NPCのベンダーは物々交換出来ません。ゴールドの支払いを通じてのみ取引が出来ます。
もちろんPC同士は物々交換が可能です。
コインの重さに関してはまだ仕様が決まっていません。スタッフとの検討課題にします。

Q:リアルマネートレードについては?

Starr Long:
SotAのシステムとしてはサポートしません。
USドルでゲーム内のアイテムは買えません。

Q:外部でRMTを仲介する業者が現れたら?

Starr Long:
うーん…今はまだ考えたことがありません。

またこのマーキードラゴン・ショーにぜひ出演して下さい。
もっと答え辛い質問をたくさん用意してお待ちしていますから。

Starr Long:
OK、約束しましょう。

今回のハングアウトの参加に感謝します。どうもありがとうございました。

Starr Long:
サンクス!

0 件のコメント:

コメントを投稿

■過去記事アーカイブ